ARTIST STATEMENT
石でかたちをつくる。
「ただそこに在るもの」をつくる。
なにものでもない存在。
それは石のようなものだ。
石は他の生命と関わらない。
生きているのかそうではないのかもわからない。
なにも求めない。
いつか失われるときがくるまで、ただずっと、そこに静かに在るだけだ。
石と出会って、すべてのものは本来なにものでもない存在だと知った。
石だけがそれを受け入れ、佇む。
だから強く、美しい。
人や物はただそこに在るだけでは許されず、満たされず、
名前や意味や価値、そして物語までも自身や周囲に求め続ける。
関わりあうこと、求めあうこと。
それが日常であり、生きるということでもある。
わたしは石の前に立つ。
日常に目を瞑り、石を見るためだけに、目を開ける。
目に見えるのはかたちあるものだけ。
石もわたしも同じ、ただそこに在る、なにものでもない存在だ。
2013.3. 栗原優子
copyright(c)yuko kurihara.All right reserved.